その猫、取り扱い注意
外に出て、行く場所も決めてないけど歩いた。
彼の隣を歩きながら、あたしの心はゆらゆらと揺れていた。
イツキくんが好き。
でも、イツキくんは他に好きな人が出来た。
それじゃあ、あたしの気持ちはどうなるんだろう。
イツキくんがちゃんと別れを告げてくれれば時間はかかるけど諦めれた。
だけど、理由も言わないで嫌いになられてもあたはまだ気持ちの整理が追いつかない。
「あの」
「えっ」
「僕の勘違いだったら恥ずかしいけど、もしかしてイツキくんと僕で悩んでますか?」
図星だったからあたしはかああっと分かりやすく顔を赤くする。気付かれてたと思うとさらに恥ずかしい気持ちが募る。
「…迷惑だよね」
そりゃそうだ。
イツキくんと天秤にかけられているなんてチアキくんとしてはいい気はしないはず。
伺うようにチアキくんの顔を覗くと彼は切なそうに瞳を溶かして。