その猫、取り扱い注意
「…次の授業さぼろうかな」
「そうすれば?」
え。
どこから声が聞こえたのか周りを見渡す。
幻聴じゃない…よね。
確かにイツキくんの声がした。
でも右にも左にもイツキくんらしき人はいない。
さっきキスした時よりも動揺しているあたし。なんだかチアキくんを裏切ってるみたい。
あたしはまだイツキくんが好きなんだと実感させられる。
その想いを振り払うように立ち上がる。
「どこ行くの」
「……っ」
ここにいるより、教室に戻ったほうがいい。
居心地が悪い。
あたしはどこにいるか分からないイツキくんを無視して歩き出す。