その猫、取り扱い注意
でも、俺が逃がさないように腕で掴んでも振り払わなかった。
久しぶりにユミに触れてやっぱりナナじゃなく、こいつが好きだと思った。
もう我慢出来ない。
自分の気持ちに嘘をつきたくない。
どうせ今、チアキと付き合ってるんだし、写真をばらまかれてもあいつがなんとかするだろう。
もしチアキが何もしなくても俺が許さない。
本当のことを言おうと口を開いた時。
がばっと自分の腹に手を回された。背中に誰かの顔が押し付けられる。
誰、なんて言わなくても分かる。
「イツキ達見つけたーっ」
「ナナ」
ナナだと確信したら、身体の力が一気に抜けてユミは弾かれたように走り去る。