その猫、取り扱い注意
無理矢理だけど、イツキと付き合ってきた。まぁ、男の付き合いもあるだろうし一緒に帰れない日は度々ある。
でも、今日みたいに機嫌を取るように迎えに来て、こんな風に直接用事があることを知らされるなんて一度もなかった。
あやしい。あたしを帰らせてユミちゃんと接触するつもりかな。
無駄だよ。
イツキがユミちゃんとくっつかないように色々したんだよね。
今更行動を移しても遅いんだよイツキ。
「やっぱり先に帰る」
悲しそうなそぶりを見せてそう告げればイツキは「ん」と短く返事をした。
あたしと反対に、とても嬉しそうに。
見事にあたしの演技に引っ掛かるイツキを見てこうするしか方法はなかったと確信した。