その猫、取り扱い注意

虚しく響く足音





僕の彼女は分かりやすいです。


廊下を全力疾走しながら考え事をしていた。


昨日、明らかに様子が変だった。僕はそれに気付きながらも見て見ぬふりをした。


ユミちゃんは優しいんだ。卑怯な僕は彼女の優しさを利用しているだけで彼女は何も救われていない。


ちっとも心から笑っていない。


僕も僕で何してるんだ。


もう、離してやらなきゃ。


ユミちゃんには申し訳ないことをした。イツキくんとユミちゃんを引き離すようなことをした。


全て僕のエゴの為に酷いことをした。


ぴたりと足が止まる。


僕以外の足音が騒がしく廊下に響き渡る。


後ろから凄い勢いで腕を引かれた。



「イツキ、くん」



彼も彼でユミちゃんが好きなんだろう。それは僕も同じ。




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