その猫、取り扱い注意
「待てよ」
「待ってるよ?」
くすくすと余裕たっぷりの笑顔で笑って彼に言葉を返す。
僕の態度が気に入らないのかイツキくんは思いきり敵視している。
そんな顔されても…。
「でも、今はここで話してる場合じゃないんだよね。離して」
走ってる目的はきっと同じだろう。
「嫌だ」
って、なんで嫌がる?
早くしないとユミちゃんが危ないのに。
意味が分からなくて首を傾げる。もう、時間がない。これ以上イツキくんに構ってられない。
「お前は教室に戻って」
「…どうして?」
「俺が助けに行く」
「…彼氏でもないくせに図々しいね。どいてよ」