その猫、取り扱い注意
「腹減った」
「そう思ってお弁当作ってきたよ」
「まずい」
「まだ食べないじゃん」
「野菜嫌い」
ごめんねイツキくん。あたしも野菜好きじゃないけど、ニキビの為に我慢して野菜たっぷりのお弁当作ったんだよ。目の前に広がる緑の山。
「から揚げ入ってないんだ」
「うん。ごめんね」
箸が一向に進まない。あたしはお腹空いたし仕方なく食べてるけどイツキくんは本当に嫌いらしく手を付けない。
隣からお腹の音がぐうぐうと鳴ってうるさい。
「から揚げ…」
無い物ねだりをする彼に苦笑いしつつ申し訳ないと心中で謝る。こうしてる間に時間は刻々と過ぎていく。
「んー」
隣から唸り声がした。ちらりと横目で見ると、イツキくんが箸を加えて一点を見つめているじゃないか。
不思議に思ったあたしは彼の視線を追い掛ける。