その猫、取り扱い注意
「着いてこれる?」なんて女を骨抜きにさせてきた甘い声で言うから俺は負けじとあいつの後ろを着いていった。
走って来た場所は普段絶対行かない体育館裏。
こんな人気の少ないところで陰湿すぎるだろ。
結構な人数に囲まれているユミは逃げ場を失い、危ないところだ。
ユミ、と大声で言おうかと口を開くとすぐさまチアキに手で塞がれる。
なんだよ。邪魔すんなっつーの。
べりっとチアキの手を引き剥がすとチアキは悪戯っぽく舌を出して立ち上がる。
「最後くらい、いいところ見せさせてよ」
見惚れるような横顔はただただユミが好きなんだと言ってるような気がした。
それでも譲る気ねーよ
(主役は遅れて出るって知ってる?)