その猫、取り扱い注意
不器用なイツキくん。
いつもいつも意地悪ばかりしてきたけど、あたしのこと大切にしてくれた。
チアキくんとは違う優しさで。
彼の話を聞いてる途中で涙は溢れて止まらなかった。
頬に伝う涙を拭う感触がした。
気づいたときには彼の胸の中にいて、声を上げて泣いた。
「不細工な顔」
「なんとでも言って」
涙でぐちゃぐちゃなあたしの顔はイツキくんの言う通り、不細工だ。
それでも今、幸せな気持ちで包まれている。
「イツキくん」
「なに」
「好きだよ」
「……喜びたいのにお前まだチアキと別れてないじゃん」
そうだ。あたしはちゃんとけじめをつけないといけない。
彼には一番幸せになってほしいと思った。
誰よりも優しい君
(待ってて、今すぐ答えを出すから)