その猫、取り扱い注意

驚いた顔をした君





あたしの彼氏は……。



[話したいことがあります。家の前にいるから待ってるね]



送信済みのメールを見て、息を吐いた。


チアキくんまだかな。


家の中に入るとチアキくんのお母さんが遊びに来たって勘違いするだろうからあえて外で話すことにした。


長くはなかった付き合い。


けしてイツキくんのことを忘れられたわけじゃなかったけど、チアキくんといると失恋の傷が癒されたようで心地よかった。


イツキくんと付き合っていたとき、何度かチアキくんが彼氏だったら幸せだろうなと思ったことがあった。


それがその通り、幸せだった。


にゃー。


ふと猫の鳴き声がしたので視線を下げると、そこには首輪をしていない黒猫が一匹。野良猫かな?


黒猫を見ると何故かイツキくんを思い出しちゃうんだよね。


幸せだったとか思ったから叱ってくれてるのかな?


そんなことあるわけないか…。


手を伸ばして猫に触ろうとしたとき。



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