一億よりも、一秒よりも。
見る目がないな。素直にそう感じた。
 

三原先輩は確かに見た目が良い。
学生時代はサッカーをずっとしていたらしく、未だに休日はフットサルを楽しむぐらいアクティブだ。
そのくせ仕事も出来る人で、女性にも気を遣える。

ただ彼は平然と「セックスだってスポーツだ」と言える人間でもあった。
そして二の次には「女の子はエロくなくっちゃな」だ。
肌色が多い方が好きで、幼い顔で甘ったるい声が好きだ。
そして、長い時間同じ女性を横に置くことはない。

 
ただ女性はああいう男がきっと好きで、本能的に惹かれてしまうのだろうな、というのはわかっていた気がする。
つまり彼女も一緒か、と。

 
出会いが欲しかったわけではない。それ以前に恋人を必要としていたわけでもない。
だから俺は皆がいなくなった後でそのまま帰るつもりだった。
 
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