一億よりも、一秒よりも。
これがいいのか悪いのかなんてわからない。
神様なら知っているだろうか。

だけどきっと彼女は言うだろう。
「神様の意見なんて、聞いても仕方がないわよ」
そして俺もそれに頷くのだ、キョウの眉間に生まれた皺を眺めながら。


「やっぱり、そうよね」
 
前を見ていたキョウがそう言った。何のことかはわからない。
だから俺は素直に笑う。「神様の意見が?」
そして彼女は眉根を寄せるのだ。「馬鹿じゃないの」
 
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