暴走族が愛した小さな姫
side直人
俺たちは公認になった。
最初はびっくりしてたけど
祝ってくれた。
あれから毎日鮎華の病室にきて
笑いあった。
そして今日も。
いつものように話してて
帰ろうとした時
「いかないで」
そう鮎華がいった。
めずらしい、
というかいつもの鮎華じゃない?
それから面会時間が終わるまで
鮎華のそばにいた。
おれが帰る時鮎華は
寂しそうに笑っていた。
「明日も来るから」
そういって病室を出た。
あれが最後にみた鮎華だった。
side end