春をありがとう*2*


いつもと違ってすごく真面目な顔の翔太。

私はそれだけで何だか不安になる。


“もう美春のこと嫌い”とか“付き合ったのは同情”とか言われるんじゃないかって。

被害妄想に陥ってしまう。


「言っとくけど、美春と別れるとかやないけん」


すこし笑って言う翔太はいつもの翔太で安心する。


「聞いてくれる?」

「…うん」


私は決心した。

どんな話か見当もつかないけど、聞きたい。


「別に話すことでもないかもって思うけど、俺は小学校の時にいじめられよった」


翔太の話は、今の翔太からは想像できないような話だった。


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