春をありがとう*2*


「あの笑顔、あのクリクリの目、絶対日向やと思う。今日会ったのは、偶然じゃないと思う。絶対また会える。私、彼を傷つけないように思い出させてみせるけん・・・やけん・・・」


泣かんどって、そう言いたいのに、胸が詰まって言葉が続かない。


「美春?もしね・・・あの子が少しでも嫌がったらやめて?あの子にも今はもう新しい家族がおるやろうけん・・・」


お母さんの言うことはもっとも。

私も、そこまでして思い出して欲しくはない。

でも、彼に6歳以前の記憶がないのはあまりにも不憫だと思う。

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