春をありがとう*2*
「1つ聞いてええ?」
私は小さな決心をした。
「何?」
「幼稚園…どこやったん?」
曽我部 日向は少し驚いた顔をした。
「幼稚園…?」
明らかに動揺している。
「そう、幼稚園。言いたなかったら別にかまんけど」
「いや、言いたくない訳ではないんだけど…記憶がないんだ」
ほら、やっぱり。
「俺、6歳より前の記憶がないんだ。でも、どうして幼稚園のことを聞いたの?」
「うん…幼稚園の時に仲が良かった男の子の面影がある気がして」