春をありがとう*2*
「美春、先生が呼びよる」
廊下から渚が呼んでる。
「うん、ありがとう」
私はそれ以上、曽我部 日向に何かを言うことなく教室を出た。
「曽我部くんと何かあったん?」
「ん…別に何かあったって訳やないけど」
渚が不思議に思うのも無理はない。
「じゃ、私はここで!先生は職員室やけんね」
「彼氏か…」
2組の教室に渚は嬉しそうに入っていき、まっすぐ海地の元へ向かった。
その海地の後ろの席には翔太が座っていて、私の姿を確認すると片手をあげた。
私はそんな翔太に小さく手を振り返し、職員室に向かった。