春をありがとう*2*
「失礼します…」
私は職員室に入ると、まっすぐ担任の元に向かう。
「先生…」
「おぉ、もう大丈夫か?見舞いに行くつもりやったんやけど…ごめんな?」
そんな謝らなくていいのに。
「いえ、もう大丈夫です。あれ、昔からなんで慣れてるんです」
「そうか…ところで、曽我部と話した?」
どうしたのかな?
「はい、さっき話しましたけど?」
「いやな、小澤が早退した日からおかしいんよ。小澤は途中で苗字が変わったか、いとこはいるのかってしつこく聞いてきたんよ。本人に聞けって言ったんやけどね」
そうか。
もうこれは100%。
曽我部 日向は自分の正体を探し求めている。
「そうですか…分かりました」
私はそう言って職員室を後にした。