春をありがとう*2*
「おはよう」
雑誌のようなものを読んでいた日向は顔を上げて言った。
「おはよう、日向」
私は挨拶を返して深呼吸をした。
「日向…大事な話するけん、聞いて?」
日向は雑誌を閉じて私を見た。
「うん。ちゃんと聞く」
「私と曽我部 日向が初めて会った時のこと覚えとる?」
あれは高2になる前の春休み。
「うん。俺は美春が分からんかって…」
「そう。あの日、お母さんが病院に運ばれとったんよ」