抹茶な風に誘われて。~番外編集~
思えば最近少なくなっていたデート。おはようのメールも、おやすみの電話も、いつだってあたしからしかしてなかった。忙しいからだって思ってたそれは――もしかして、もうあたしに飽きてたから?
思いついた可能性に心の中が冷たくなって、意地でもと歩き続けていた足が止まった。一度家に帰って私服に――もっと可愛いコーディネートに身を包んで会いたいとも思った。
でも、制服のまま来たのは、少しでも早く会いたかったから。そう、マンネリだなんて言って、本当はあたしの気持ちはいつだって変わってなかった。ずっとずっと、雅浩と一緒にいたい。これからも、何も変わらずそばにいたい。でも、もう無理なの……?
通りのショーウィンドウに、不安げな自分の顔を見つけて苦笑した。さっき自分自身で考えたことが、とんでもない傲慢だったんだって気づいたから。
優月が一人を寂しがる時、心の中では仕方ないことだって思ってた。好きでもないのに付き合っては別れて、ふられて泣いて、また立ち直って――そんなことができるのは、本当に好きじゃないからだって内心非難してた。
でも、今こうして一人でいるあたしは、なんて情けない顔してるんだろう。偉そうなこと言ってお説教して、励まして、応援してるつもりだったけれど、好きだった相手に背を向けられることがどれほど悲しいことかなんて知らなかったんだ、本当は――。
そこまで考えて、思い出した。もう一人の大切な友達に、自分自身が言った言葉。彼のことがわからないと、自分に自信が持てないと落ち込むたびに、かけた一言。
『ちゃんと気持ち、話してみなよ』って肩を叩いた、あの時の自分。それが今、こんな風に一人で悩んでるなんて。
「そうだ、まだ雅浩の気持ち聞いてないじゃない……」
何も聞かずに、こんな風にモヤモヤしていたってしょうがない。待ち合わせ場所だった通りからは、もう一駅分は歩いてしまったけれど。
――ちゃんと、電話してみよう。
勇気を振り絞って、携帯電話を開く。ドキドキしながらボタンを押して、聞こえてきたのは無機質な音声。電波の届かないところに――そのアナウンスはつまり、雅浩があたしを待ってないってこと、なのだろうか。
たちまち落ち込んでしまう心は、体までも冷えさせてしまったらしい。今まで気づかなかった外の寒さに震えて、くしゃみを一つ。とにかくどこか店の中にでも――と辺りを見回したあたしは、いきなり横から覗きこんできた顔に驚いた。
思いついた可能性に心の中が冷たくなって、意地でもと歩き続けていた足が止まった。一度家に帰って私服に――もっと可愛いコーディネートに身を包んで会いたいとも思った。
でも、制服のまま来たのは、少しでも早く会いたかったから。そう、マンネリだなんて言って、本当はあたしの気持ちはいつだって変わってなかった。ずっとずっと、雅浩と一緒にいたい。これからも、何も変わらずそばにいたい。でも、もう無理なの……?
通りのショーウィンドウに、不安げな自分の顔を見つけて苦笑した。さっき自分自身で考えたことが、とんでもない傲慢だったんだって気づいたから。
優月が一人を寂しがる時、心の中では仕方ないことだって思ってた。好きでもないのに付き合っては別れて、ふられて泣いて、また立ち直って――そんなことができるのは、本当に好きじゃないからだって内心非難してた。
でも、今こうして一人でいるあたしは、なんて情けない顔してるんだろう。偉そうなこと言ってお説教して、励まして、応援してるつもりだったけれど、好きだった相手に背を向けられることがどれほど悲しいことかなんて知らなかったんだ、本当は――。
そこまで考えて、思い出した。もう一人の大切な友達に、自分自身が言った言葉。彼のことがわからないと、自分に自信が持てないと落ち込むたびに、かけた一言。
『ちゃんと気持ち、話してみなよ』って肩を叩いた、あの時の自分。それが今、こんな風に一人で悩んでるなんて。
「そうだ、まだ雅浩の気持ち聞いてないじゃない……」
何も聞かずに、こんな風にモヤモヤしていたってしょうがない。待ち合わせ場所だった通りからは、もう一駅分は歩いてしまったけれど。
――ちゃんと、電話してみよう。
勇気を振り絞って、携帯電話を開く。ドキドキしながらボタンを押して、聞こえてきたのは無機質な音声。電波の届かないところに――そのアナウンスはつまり、雅浩があたしを待ってないってこと、なのだろうか。
たちまち落ち込んでしまう心は、体までも冷えさせてしまったらしい。今まで気づかなかった外の寒さに震えて、くしゃみを一つ。とにかくどこか店の中にでも――と辺りを見回したあたしは、いきなり横から覗きこんできた顔に驚いた。