ハレゾラ

「そんな勝手なことをっ。まだ心の準備が出来てないのっ! 下ろしてっ」


「でもさっき、僕の事もっと知りたいって言ったよね?」


「……言った、けど……」


「それにこの状態では説得力ないなぁ」


ククッと笑ってから、顎をクイッと下に向ける。
彼が顎で指した場所を見てみると……。

あはは……何でかなぁ。これでもかって言うくらい、彼の首にギュッと腕回し
ちゃってるじゃない、私。


「こ、これは不可抗力でしょっ。離したら落ちちゃうし……」


「僕、ちゃんと抱きかかえてるから大丈夫だよ離しても。ほら!」


ほらって……。笑いながら簡単に言っちゃってくれるし。そう言われてもなぁ。しばらく考えていると、何か違和感を感じた。

うん? 何だろう、この気持ち。

よく考えてみると私、腕を離したく……ない?

そっかぁ……。彼にこうしてもらえて嬉しかったみたいだ。
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