ハレゾラ
思った以上に大きく出てしまった声に彼が「うぅん……」と起きてしまった。


「あぁ~……咲さん、おはよう」

そう言って、私を後ろから抱いていた腕を緩めた。
その隙に、痺れる体に鞭打って彼から少しだけ距離を取る。


「お、おはよう、翔平くん」


昨日の今日……じゃなくて、さっきの今? で彼の顔を見るのは恥ずかしいけれ
ど、私は至って明るい笑顔で挨拶を返した。


「なんで離れちゃうの? こっち来て……」


ゲッ、バレてる。笑顔作戦、失敗。
私の腕を引っ張ると、今度は向かい合うように抱きしめられた。

ちょ、ちょっとヤバい……。身体が敏感に反応しちゃってるんだけどっ!

なんとか声は堪えようと焦ってモジモジしていると、その態度に彼は気づいて
しまった。
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