ハレゾラ
「何してるの、咲さん?」
「なななななんでも、ないですっ!!!」
焦りが言葉にも出ちゃったよ……。それに身体が、もう限界に近いんですけど
っ!
そんな私を見て、クククッと肩を震わせ笑いをこらえている彼。
頭のあたりと腰を抱きしめられ身動きできない身体をゆっくり動かし、ムッと
して彼の顔を睨んだ。
「そんなに笑うことないじゃない」
「……ごめんごめん。もう可愛すぎるよ、咲さん」
目から涙を流すくらいおかしかったのか、まだ笑っている。
きっと彼には、なにもかもお見通しなんだろう。いい加減腹が立ってきた。
力が入らない腕に意識を集中させて彼の身体を力いっぱい押し、パパっとシーツ
を身体に巻きつけ、布団から出ようと立ち上がった。
すると、思っていたよりも足は使い物にならなくなっていたらしく、ガクッと膝
から崩れ落ちてしまった。