ハレゾラ
「咲さんっ!!!」
彼は慌てて私を支えようとしてくれたが、一歩遅かった。
私は大きくバランスを崩し、近くにあった小ぶりの棚に思いっきり身体をぶつけ
てしまった。
「痛っ!!!」
最初は小さかった痛みが、だんだん大きな痛みとなって身体中に伝わった。
その場で身体を抱えてうずくまる。
すぐに駆け寄った彼も、さすがにこれには驚いたようだった。
「咲さんっ。大丈夫? どこが痛い?」
「どこもかしこも全部痛いっ!!!」
これじゃまるで、小さな子供のようだ。
でも彼に対して腹が立っている今は、そんな風にしか返事が出来なかった。
彼は少し困った顔をしてから、私を抱えようと両脇に手を差し込む。