ハレゾラ
「ね、布団に運ぶから、腕を僕の首に回して?」
私は首を左右に振った。
「ほら、体痛いんでしょ? 布団に横になろ?」
「手……上げられないの……」
少し怒ったような、少し恥ずかしいような、そんな声で彼にそう告げた。
「えっ? それって……。今打ったから痛いんじゃないの?」
今度は首を縦に振る。
(ホントは最初からわかってたくせに……)
そう思って口にだそうとしたが、それをすぐに止めた。
彼が私を、まるで壊れものでも運ぶかのようにやさしく掬い上げたからだ。
そのまま持ち上げると、私の顔に頬を寄せた。