ハレゾラ
「咲さん、どうしたの? こんなとこで会うなんて」
それはこっちのセリフ。よくそんなことが聞けたもんだ。
何も話をしたくなかった私は、無言で振り返ってこの場から離れようとした。
すると彼は、慌てて私のを腕を摘んだ。
その手に嫌悪感を感じた私は、とっさに彼の手を振り払ってしまう。
「触らないでっ!!!」
彼も、近くにまで来ていた彼女も、私の声の大きさに驚く。
それは周りにいた人たちも同じだったようで、行き交う人たちが私たちのことを
好奇の目で見ていく。
こんなの恥ずかしすぎる。今すぐにでもここから立ち去りたい。
でも彼女がそれをさせてくれなかった。
「翔平、この人がこの前話してた人?」
「そうだけど、いらない事言うなよ」