ハレゾラ
坂牧も自分のしていることに気がついたのか、ハッとして私から離れる。


「悪い……」


また頭を掻いてバツの悪そうな顔をした。


「今すぐ付き合ってくれって言ってるんじゃない。だから、あんまり気にする
 な」


「気にするなって言っても、気になるんですけど……」


「だよな」


クスクス笑いながら坂牧がそう言った。
何笑ってんだか……。私は呆れたような顔をして、何も言わないまま坂牧の顔を
見ていた。


「ま、とにかくだ。告白した以上、俺も遠慮しないから。精々、お前も頑張れ」


坂牧は言いたいことだけ言って、さっさと部屋から出て行ってしまった。


「頑張れって……。何を頑張れって言うのよぉーっ!!!」


坂牧が出たいった方を向いて大きな声で叫ぶ。
それと同時に身体から力が抜けてしまったのか、床にぺたんとしゃがみ込んで
しまった。

(彼とのことを考えるだけでも頭が痛いのに……)

また一つ厄介なことが増えたと、頭を抱える私がいた。 
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