ハレゾラ
「翔平くんのことはどうしたの? まだ会ってないんでしょ?」
「うん。まだ連絡してない……」
「じゃあ何で坂牧と付き合ってるのっ?」
坂牧って。部署は違えど先輩でしょっ、一応……。
飲み仲間、恐るべし。
「それだけど、どこでそんな風になっちゃったのかなぁ」
「何? 付き合ってないの?」
「付き合うはずないでしょ。私、そんないい加減じゃない」
「じゃあ坂牧が勝手に言ってるのか。どこにいるの、坂牧は?」
「しばらく助っ人」
そうだった。坂牧は今、新店舗への応援のため、部下を何名か連れて出張中だ。
文句を言いたくても、当の本人がいなくてはどうしようもない。
希美も一気にテンションが下がったようだった。
「ご…ごめん、咲。そうだよね、咲が二股かけるなんてね……」
私の頬に手を当て、スリスリしながら許しを乞う希美。
「分かってくれればいいんだけどね」
はぁ……、前途多難。