ハレゾラ

坂牧の家には、もう何度も来ている。
部署のみんなでクリスマスパーティーをしたり、希美と一緒に年越しをしたり。
でも、一人で来るのは初めてのことだった。
少しドキドキしながらエントランスにあるインターホンに部屋番号を入力する。
しばらくして、いつもの威勢のいい声が聞こえた。

『おう花田か。今、開けるよ』

ガチャっと音がして、自動ドアが開いた。
エレベーターで5階まで上がると、一番奥の部屋の前まで行く。
部屋のインターホンを押そうとするとドアが勝手に開いた。坂牧がヒョコッと
顔を出す。


「待ってたよ。さあ、入れ入れっ」


「お、お邪魔します」


「リビングで適当に座ってて」


そう言われ、そそくさとリビングに向かい、ソファーにちょこんと座った。
一人だと、何だか落ち着かない。
キョロキョロと部屋の中を見渡していると、キッチンから声がした。
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