ハレゾラ

そう思って口を開きかけたその時……。

(ピンポーン)

玄関のチャイムが鳴った。
でも坂牧は動こうとはしなかい。私の顔をじっと見て、ニヤリとほくそ笑む。
何か嫌な予感はしたけれど、今はどうすることもできない。
しばらくすると、玄関でガチャリとカギを開ける音がした。


「チーフ、鍵を勝手に開けてるってことは家族とか?」


「うん? ああ、そうだよ」


なんで今日、家族を呼んだんだろう。あっ、お土産渡すのかな? と呑気に考え
ていたら、リビングの扉が開き、いかにも面倒臭いと言わんばかりの声が聞こえ
てきた。


「なぁ兄貴、いきなり呼ぶの止めてくんない?」


えっ? この声って……まさかっ!?
大好きな彼の声に似ている……ような気がした。
恐る恐る振り返って見ると、驚きを隠し切れない表情で立ち尽くしている彼が
いた。


「咲……さん?」


「翔平くん……」


なぜ彼がここに来たのか分からず、私もただ彼を見つめていた。 
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