ハレゾラ
二人からの気持ち
なんで? なんで彼がここにいるの? 兄貴って?
頭の中が?だらけで、何がなんだか分からなくなってしまった。
どうしよう……。
この状況についていけなくて呆然と突っ立っていた。
すると坂牧が私の片腕をグッと引っ張り、自分の横に並ばせた。
そして、わざと彼に見せつけるように私の肩を抱いた。
「あぁ、お前に紹介する。野口咲さん。俺の彼女だ」
「は、はいぃっ!?」
いつ、誰が、どこで彼女になったんだっ! そう言おうと思って坂牧の方を向
こうとしたが、反対の方向からただならぬ雰囲気を感じ、ゆっくりと彼の顔を
見た。怒りに震えるその顔は、険しく引き攣っている。
それもそのはず。坂牧はいつに間にか私の身体を両腕で抱きしめていたのだか
ら……。
「チーフッ! 離して下さいっ。私、彼女じゃないでしょっ!!」
そう言って、思わずチーフを力いっぱい突き飛ばしてしまった。
どんっと大きい音を立てて腰を床に打ち付けた坂牧が、ドサッと倒れこむ。
「お、おい、兄貴大丈夫か? 咲さん、相変わらず力強すぎ」
「ごめん。でもチーフが悪いんだし……」
「まっ、それはそうだけど」
二人で話していると、いつに間にか坂牧は起き上がっていた。