ハレゾラ
「なあ、お前たちって、今危ない状態なんだよな?」
打った腰をさすりながら。でもその表情は真剣そのものだ。
危ない状態……。
なんて答えていいか分からず、彼の顔を見る。
私と目が合うとサッと逸らし、言いにくそうに口を開いた。
「だ、だとしたらなんなんだよっ」
彼のその言葉に、目の前が真っ暗になった。
(あ……、やっぱり彼は別れようと思ってる)
そのことを、今はっきりと突きつけられたような気がした。
自分から話をすることを先延ばしにしておいたんだ。その間に彼の気持ちが変わ
ってしまっても仕方が無いことだった。
でも今その言葉を聞いてしまった私の身体は、だんだん力が入らなくなってしま
った。足元がガクッと崩れそうになる。
「咲さんっ!」
彼の筋肉質だけど、優しく温かい腕が私を抱きとめてくれた。
「大丈夫? 今日は助けられた……」
そう言って微笑む彼の笑顔を見ると、身体の中から何かがブワッと込み上げてく
るのがわかった。でもそれが何なのか分からず首を傾げていると、彼が私の頬を
ふわっと包み指先で何かと掬いとった。