ハレゾラ

「誰でもいいだろ。なぁ花田。気にするなって言うのも何だが、俺とお前の関係
 は今まで通りだ。いいな?」


私も今回のことで、坂牧との関係を壊したくはない。
坂牧の部下として、まだまだ教えてもらいたいことはたくさんある。
だから今そう言ってもらえて、とても嬉しかった。
 

「はいっ! ありがとうございます」


そう明るく答えると、坂牧も嬉しそうに「おうっ」と答えた。




坂牧のお土産の話は本当だったらしく、帰り際にどっさり渡されてしまった。
彼は車で来ていて大量のお土産を後ろの席に乗せると、私を押しこむように助手
席に座らせた。
そのやり方があまりにも乱暴で、彼が怒っているのだということは簡単に推測できる。が、何に怒っているのだろう? 全く検討がつかず、どう対処していいも
のなのか困っていた。
その間に、彼も運転席に座りエンジンをかけている。
じーっと彼の横顔を見つめるが、こちらを向く気配もない。
はぁ……と小さく溜息をつき、正面に向きなおしてシートベルトを掛けた。
車が動き出す。車内の空気が重い。
なんだかこの雰囲気、嫌だなぁと思いながら窓の外の景色を見ていると、いきな
り耳朶を引っ張られた。
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