ハレゾラ

「な、なに? いきなり耳、引っ張らないでよっ」

「外見てないで、俺見ててよ」


え? えぇ? お、俺って言ったよね、今。
私の聞き間違えかなぁ……。なんとなくキャラが違う感がいっぱいなんですけ
ど。


「翔平くん、今、俺って……」

「言ったけど、何?」


おぉぉ、やっぱり怒ってる。でも、そんな彼にもドキドキしてる私がいて……。
だって、怒ってる横顔がすっごくセクシーで素敵なんだも~ん。
ニヤニヤしそうになる顔を必死に堪える。
耳朶を引っ張っていた手は、今、私の太腿の上に置かれており、ときどき摩った
りムニムニと摘んだりして遊んでいる。


「あのぉ……翔平くん? 腿がくすぐったいんですけど」

「そう? じゃあ我慢して。今の俺、機嫌悪いから」

「その機嫌悪い理由、教えてはもらえない……でしょうか?」


これ以上、機嫌を損ねられると厄介なので、丁寧に聞いてみる。
太腿の手の動きが止まった。
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