ハレゾラ
「なんで隠れる必要があるの? もう咲さんの身体なんて隅々まで見ちゃって、
全部知ってるのに」
それはそうかもしれないけれど、朝起きていきなりの状況では無理!
こんなメリハリのないボディーは、やっぱりお見せできません。
こっちに来ないでとグイグイ彼を押し戻そうとするけれど、女の私では敵うわけ
なくて……。
「そんなつれないことするなら……ほらっ!」
バサッと布団を捲り上げてしまった。
「イヤイヤイヤイヤッイヤーーーッ!!!」
身体を小さく丸めて、ダンゴ虫のような格好になる。
「早く布団戻して。お願い……」
今にも泣き出しそうな声で懇願すると、「しょうがないなぁ」と言いながら、私
を後ろから抱きしめてきた。その感触が昨晩を思い出させ、私の身体をまたして
も火照らせてしまう。
「ね……ねぇ? 布団……が、欲しいんだけど」
「部屋あっためておいたし、僕もいるから寒くないでしょ?」
全く話が咬み合わないんですけど……。
ドキドキしてしまっていることをバレないように、平常心を保ちながら彼に言い
放つ。
「翔平くんは服着てるからいいけど、私は何にも着てないの! は、早く布団か
けてっ!」
「あれ?咲さん、鼓動早くなってない?」
「は、は、は、早くなってないっ!!!」
こんな体勢、ドキドキしないはずないでしょっ!!!
焦って吃りながら答える私を見て、後ろから大きな笑い声が聞こえてきた。
「はははははっ!……もう…咲さん……可愛すぎる……」