ハレゾラ
言ってくれている言葉や言い方は、すごく優しい。いつもの彼だ。
確かに彼と付き合うようになってから、初めての年末年始。今までこんなの忙し
い時はなかったけれど……。
だとしたって、付き合いだした頃の彼だったら、すぐに飛んできてくれた……と
思う。
もう飽きちゃったのかなぁ……。
はぁ……駄目だ駄目だ。
そんなことを考えだすと、またいつもの私の悪い癖“不安”が顔を出してしまう
んだ。
恋人同士に戻れたけれど、やっぱり8つも年上で離れてるから、こんな私に嫌気
が刺したんじゃないのか……と。
電話口で『好きだよ』とか『愛してる』と伝えてはくれる。
その時の声の優しさや甘さで、私のことを想ってくれていることは感じられるのに……。
身勝手かもしれないが、会えない……身体が触れ合えない……。たった、それだ
けのことが出来ないだけで、彼にとって私はどんな存在なのか分からなくなって
しまう。
強烈な不安が、私の心を少しずつ蝕(むしば)んでいった。