ハレゾラ
「元気になったみたいですね。素敵な笑顔が見れて良かった」
なんだ、この人? 私を誰かと勘違いしてるのかしら?
こんな若い素敵な男性、私、知らないんですけど?
頭の中が? だらけになりながらも、失礼のないように応対を続けた。
「お客様に喜んでいただけて、光栄です」
そう言って、ペコっと頭を下げる。
買い物カゴの中には、菓子パンと牛乳。
(今日のお昼ご飯かしら?)なんて思いながら、それらをすばやくレジに通す。
「250円になります」
そう笑顔で告げた。すると彼も満面の笑顔で応える。
「はいっ」
手にぎゅっと握っていた小銭を差し出してくる。
その返事の仕方が妙に私のツボにはまってしまい、思わずクスッと笑ってしまった。
すると彼が少し顔を赤くして、ぼそぼそと呟いた。
「笑うことないのに……」
ちょっと拗ねたように下を向いてしまう。