ハレゾラ
「チーフかぁ……。ちょっと、いきなり驚かさないでくださいよっ。彼と待ち合
わせです」
そうか……。坂牧の家は、確かこの近くだった。ジャージの上下を着てるという
ことは、ジョギングがウォーキングでもしていたのだろう。
でも、何でこのタイミングで現れるかなぁ……。
そんな私の気持ちを知ってか知らずかドカッと隣に座り込み、腕を組んで踏ん反
り返る。
「なぁ、あいつと何時に待ち合わせ?」
「一時ですけど……」
「おっ遅刻じゃんっ。お前待たすなんて、酷いやつだなぁ」
何で嬉しそうなんだっ! ちょっとムカつく……。
「昨日も遅くまで仕事だったみたいだし、しょうがないですよ」
「へぇ~、庇うんだ」
「庇うっていうか……。もう、いいじゃないですかっ!!。こうやって待ってる時
間も楽しいんだか…ら……」
そう言ってから、大いに後悔する。
私、何恥ずかしいこと言ってるんだろう……。顔、絶対に赤くなってるね……。
一人あたふたしている私を見て、坂牧が笑いだした。