ハレゾラ
入れ替わりで、彼が到着する。

うぅ、目が怖いんですけど……。


「ねえ咲さん。なんでここに兄貴がいたわけ?」

「う~ん……偶然?」

「肩抱かれてたのは?」

「知らない。勝手に抱かれただけで……」


坂牧チーフ、こうなること分かって肩を抱いたんだ。今度会社に行ったら文句言
ってやんなきゃ気が済まないっ!!
せっかく今日から三日間、楽しく過ごそうと思ったのに、初日からこんなんで大
丈夫かなぁ……。
悲しくなってきて、力なくベンチに座り込むと、彼も隣に座り顔を覗き込んでき
た。


「ごめん。こんな事言いたかったわけじゃなくて……」

「そうだよ。翔平くんが遅れてこなければ、こんなことにならなかったのに」

「ごめん」

「ちゃんと反省してる?」

「うん、反省する」


あれ? 今日は何だか、やけに素直じゃない。なんか面白くなってきた。
こんなシュンっとしちゃってる彼を見ることは、なかなかできることじゃない。
今日なら私でも、彼より有利な立場になれるかもっ。


「じゃあ今日一日、何でも言うこと聞いてもらおうかなぁ~」


その言葉を聞いて、彼の眼が妖しく光ったような気がした。

気のせい?
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