ハレゾラ
私は慌てて謝罪をした。お客様を不愉快な気分にしてしまったんだから、当然のことだ。
「お客様、申し訳ございませんでした」
そう言って頭を下げると彼はいつの間にか笑顔に戻っていて、今度は私を見て面白そうに笑っていた。
「冗談です!」
何なんだコイツ……と眉を顰めたが、あまりにも無邪気な顔して笑うんだもん。
こっちまで知らない間に笑顔になって、一緒に笑っていた。
レシートを手渡し「ありがとうございました」と挨拶をすると、彼は意外な言葉を発する。
「また会いに来ますね、花田さん」
そう言って、彼はその場を去っていった。