ハレゾラ
彼は立ち上がり、「はい」と言って手を差し出す。その手に自分の手を重ね、一
本一本指を絡ませていく。
もう当たり前になっている仕草に、今更ながらドキドキしてしまう。
こうしているのが心地良い。もう絶対に、この手を離したくない……。
「何、考えてるの? すっごく幸せそうだけど」
そう。私は幸せなんだ。
この先の二人の未来を考えると、幸せな気持ちが溢れでてきてしまって、顔が勝
手に緩んでしまう。
「そ、そうかなぁ……。何、聞いてもらおうか考えていたらワクワクしてきちゃ
って」
「で、僕は何言うこと聞けばいいの?」
繋いでいる手をキュッと握られ、蕩けてしまいそうな微笑を向けられた。
愛おしい……。彼が愛おしっくてたまらない。そんな彼に、すべてを委ねてしま
いたい。
もうきっと、彼から離れられないんだから……。
「いっぱい甘えたい……かなぁ///」
「了解! その言葉、忘れないようにね。分かった? 咲さん?」
し…しまった!!
彼の顔が、意地悪に微笑む。口から勝手に出たしまった言葉で、彼を小悪魔に変
身させてしまったみたいだ。
ははっ……。
でも、その小悪魔な微笑みさえも、今となっては愛おしい。