ハレゾラ

「はぁ……。一緒に過ごしたかったよね」


思わず寂しい声が出てしまう。
今日クリスマスイブは二人共仕事で、随分前から会えないことは分かっていた。
けれど、やっぱり会えないのは寂しい。
特に私は、年末年始までほとんど休みが取れそうにないし……。

でも、そのクリスマスがどうしたというのだろう。
メールの内容を確認していき、驚きでしばらく呆然としてしまう。


『今日の夜、帰る時間が分かったら僕に連絡すること! 何時でも迎えに行くか
 ら、お泊りセット忘れずに!!』


普通であればすごく嬉しい言葉で、すぐにでも「はーいっ」と返信していたと思
う。でも今日は、何時に帰れるかなんて全く見当がつかない。それを待たせてし
まうのは、心苦しいよ。
なんて返事したらいいんだろうと考えていると、メールを知らせる音が鳴った。


『また何か良からぬことを考えてるんでしょ!! 返事はイエスだけ。それ以外は
 受け付けないから』


彼は、私の心の中を見透かすことにかけては天才的だ!
でもこれは、彼なり優しさなのを私は知っている。こうやって選択権を与えない
ことによって、私の気持ちを迷わせないようにしてくれているんだ。
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