ハレゾラ
「うん、分かった。クリスマスイブに会えるなんて嬉しい……」
最初からそう素直にメールすれば良かったと後悔する。
だって「無理!」とメールしたって、その言葉は却下され、彼に従うことになる
のだから。そして私自身も、心のどこかでそれを嬉しく思っているのだから。
よしっ!! 今日は朝からガンガン仕事頑張ろう。
少しでも早く彼に会えるように……。
そして幸せな時間が、少しでも多く過ごせるように……。
彼にメールを打ち、そのままベッドに潜り込んで寝てしまった私は、四時間後に
セットしてあった携帯のアラームに起こされ目が覚めた。
まだ外は薄暗く、部屋の中も冷えきっている。
もそもそと起き上がると、寒さで身体がブルッと震えた。
エアコンを付け、そのままバスルームに向かう。熱いシャワーを浴びると嫌でも
目が覚め、頭をスッキリさせられる。
鏡に写った自分の裸体を見つけると、脇腹のあたりに赤い痣が残っているのが見
えた。彼と愛しあった時、きつく吸われたのを思い出してしまう。身体がシャワ
ーの熱じゃない何かで熱くなっていく。
もう一週間以上経ってるというのに、まだ消えてないその痣をそっと撫でると気
持ちよさが襲ってきた。
(早く彼に会いたい……そして抱き合いたい……)
そう心と身体が、私を急かし始めてしまう。
私って、いつからこんな淫らなことを考えるようになったのかな……。そんな自
分に苦笑しながらバスルームを出た。
バスタオルで髪を拭きながら部屋に戻り、ささっと身支度を整える。
昨日買っておいたパンとカフェオレで朝食を済ますと鏡の前に立ち、パンッと両
頬を叩いて自分に一発気合を入れる。
「今日はいつ以上に気合入れて頑張るよ!!」
そう自分に言い聞かせカバンを持つと、足早に家を後にした。