ハレゾラ
私は頭の中で、彼が言った言葉をもう一度復唱していた。
(また会いに来ますね、花田さん……?)
そりゃ買い物くらい、また来るだろう。
名前だって、ネームプレートが付いているから分かるよね。
でも今の言い方って……。
また私に会いに来る? ま、まさかね。そんなはずは万が一にもない……。
だってレジ係には、私なんかより若くて可愛い女の子が他にたくさんいる。
それをわざわざ私みたいな30過ぎ女に、私だけに会いに来るなんて……。
でも私の心は、そんな気持ちを打ち消したいかのようにドキドキと高鳴っていってしまった。
そして、彼が帰って行った方向をしばらく眺めていた。