ハレゾラ

「えっと……、彼女の件だけど。僕が咲さんの事好きだから、彼女って言っちゃいました。ダメ?」


うぅ、可愛いじゃない。そんな可愛く『ダメ?』はルール違反でしょ!
それにいきなり好きだなんて。
まったく今の若いもんは……。なんて、おばちゃん臭いこと考えていたら、彼が向かい側から身を乗りだして、私の顔に近づき始めた。


「否定しないってことは、彼女でいいってことだよね? はい、決まり!」


「ね、ねえ…翔平くん。否定も何も……。こういう事ってそんなに簡単に決めること? 私達、まだお互いの事ほとんど知らないんだよ? もっといろいろ知ってか……ら……」


話をしてる途中で、彼の人差し指が私の唇に触れた。もうこれ以上は喋らせないと言うかのように真剣な顔をしている。


私はあまりの顔の近さと唇の感触に恥ずかしくなり視線を逸らした。すると彼が徐に口を開く。


「咲さん、彼女になってから僕の事いろいろ知って下さい。絶対に損はさせないから」
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