ハレゾラ
「これ以上、咲さんのそんな甘い声聞いたら、止められなくなる……」
あっ……そういう事か。
少しだけ、それでもいいかなって思ってしまった自分が恥ずかしい。
だってそれくらい、彼とのキスは官能的で気持ち良かったから。
もっとしてって甘えたい……。でも私の中の何かが、それを言わせてはくれ
なかった。
「うん……」
私がそう答えると、彼はほんの一瞬寂しそうな顔をした。でもすぐにいつもの
笑顔で優しく抱きしめてくれる。
「まだ頭痛いんでしょ? 時々、眉間にシワ寄せてるの自分で気付いてる?」
そう言われて、ふと自分に意識を合わせてみる。
あ、あれれ?
「うぅぅ……痛い……かも」
なんか、さっきよりも痛みが酷くなってる気がする。右手の人差し指でこめ
かみを押さえ、軽く目を瞑った。