ハレゾラ
どうしたの? と言うような顔をして彼の顔を覗き込むと、いつの間にか笑顔に
戻っている彼がいた。


「さっ、そろそろ寝よう」


そう言って私をギュッと抱きしめ直すと、ゆっくりと目を閉じた。

またギュッと抱きしめられた私は心臓がドキドキし始め、しばらく眠れそうに
ない。

すると、今目を瞑ったばかりの彼から、スースーと小さな寝息が聞こえてくる。
顔を覗き込んでみると、まるで幼子のように可愛い顔をして寝ていた。


(でも、こんなにすぐ寝ちゃうなんて、疲れてたんだよね)


それなのに、私のために飛んできてくれたんだ。嬉しい……。
そっと手を伸ばし、彼の頭を撫でてみる。思ったより柔らかい髪が気持ち
良くて、少しずつドキドキが治まってくるようだった。

そのまま撫でていると、ふわっと睡魔が襲ってきて、私も深い眠りについた。
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