ハレゾラ
「どこいくの?」
ぐっすり眠っていたはずの彼から、声が聞こえてきた。彼を見上がると、
少しだけ意地悪な顔をして私を見ている。そして、また力強く抱きしめ、
顔をグッと近づけてきた。
「ねぇ、何しようとしてた? 途中で止めちゃうなんて、酷くない?」
「……いやぁぁぁぁ~!!」
私はもの凄く恥ずかしくなって、何とか彼の呪縛から逃れようと、もがいた。
しかし彼がいくら年下とは言っても男だ。ビクともせず涼しい顔をしている。
かろうじて動いた両手で顔を塞ぎ、恥ずかしさに耐えていると、彼が耳元で
囁いた。
「ねえ、もう一回翔平って呼んでみてよ」
アニメのように『プシュー!!』と音を立てながら、頭から湯気を出して顔が
真っ赤になる……。きっと今の私はそんな状態だろう。
ちょっとしばらく動けそうもありません……。
でも今朝の彼って、昨夜までとちょっと違う気がする。なんか強気? って
言うのかな。