ハレゾラ
サラダにハムエッグ、レトルトのコーンスープにトースト。
コーヒーは、今流行のコーヒーメーカーでカフェラテを淹れた。私のプチ
贅沢だ。

彼を寝室に呼びにいくと、まだ布団の中にいた。


「翔平くん。朝食出来たよ」


布団をバサッと捲る。


「翔平……」


少しムっとした声でそう言う。
あぁ、『くん』無しで呼べってことか。それはまだ無理かなぁ……。


「う~ん、それはもう少し慣れてからと言うことで……」


すると、彼は小さく「ちぇっ」と言いながら起き上がり、リビングに歩いて
いった。ササッと布団を整えて私もリビングに戻ると、彼が私の作った朝食を
見て、目をキラキラさせていた。


「こんな美味しそうな朝食、ホテルでしか見た事ない!」


「それは言い過ぎでしょ」


あまりにも大袈裟に言うもんだから、笑ってしまう。
家にあったものだけで簡単に作ったのに、そんなに喜んでくれると、素直に
嬉しい。


「さっ、食べて食べて」


「じゃあ、いっただっきまーすっ!」


誰かの為に作るごはんって、いいなぁ。

「わぁ、玉子が半熟だ!」とか「このコーヒー美味しい」とか感想を言いな
がら、満足そうに食べている彼。

私、彼の彼女になったんだ……。少しだけ実感が湧いてきた。
彼の笑顔は最高だ。私の心を温かく満たしてくれる。

こんな日が続くといいなぁ。

私も彼のために努力しよう……。そう心に誓い、トーストにかじりついた。
 
< 57 / 237 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop