ハレゾラ
私はその手の、迷信めいた言い伝え的なものがあまり好きではなかった。
どちらかと言うと、欲しいものは自力でというタイプ。
でも今日は素直に信じてみたい気分になっていた。きっと彼が相手だからだ。
出来ればずっと一緒にいたい……。心から、そう思っている。
「今日は良い天気だから夕陽も綺麗に見えるだろうし、願いバッチリ叶っちゃ
うね」
彼がギュッと手を繋いでそう言ってくれるからか、気持ちがどんどん私に
伝わってくる。
「本当に叶うと嬉しい……」
彼に聞こえないくらい小さな声で言ったつもりだったのに、彼は私のその
言葉に気づいてしまった。
「咲さんとここに来れて本当に良かった。好きだよ……」
繋いでいる手と反対の手で私を抱きしめ、頭に頬を摺り寄せてきた。